
少し前に「ケイゾク」というドラマがありました。第一線の捜査が終わっても未解決の事件を捜査する部署が舞台の物語です。本当にそういう部署があるのか知りませんし、もしあってもあそこもまでやる気がないわけもないのですが、面白いドラマでした。
この本で描かれているのは警視庁の刑事部捜査第一課に実在する特殊犯捜査係の実話です。ここは誘拐、企業恐喝、立てこもり、ハイジャック等を専門に扱う部隊です。通称、SITといいますが、Special Investigation Teamの頭文字というのは実は後付けで、元々はSousa Ikka Tokushuhanの略だったそうです。いろいろな事件のルポに加えて、そんなエピソードが本書では説明されています。
このSITが他の部署の捜査と大きく異なるのは、扱う事件が現在進行形である点です。普通、事件が発生するとそこから過去に向かって捜査を行いますが、SITが扱う事件は誘拐もハイジャックもどれも進行中の事件なのです。言われてみればその通りですが、この違いは捜査をする上で大きいはずです。ちょっとした捜査のミスが事件の結末にも影響するのですから。
実はこのSITは、上九一色村でのオウム真理教教祖の逮捕にも関わったそうです。テレビの中継でエンジンカッターを持った機動隊員たちを覚えている人もいるでしょう。でも、実はあればマスコミと信者の目をそらすための陽動作戦だったのです。あの部隊が表でマスコミから注目されている時、SITは裏口から静かに第六サティアンに入ったのでした。
この続きは本書でお楽しみいただきたいと思います。