『「戦艦大和発見」を読んだら「男たちの大和」も読みたくなった』で読んでみたいと言っていた辺見じゅん著「決定版 男たちの大和」(ハルキ文庫)ですが、とうとう読みました。
この本を原作として「男たちの大和」は映画化が決定しています。今年中のロードショーを目指しているので、もう撮影が始まっているのではないかと思います。
当初、映画化されるということから物語的なものを期待していたのですが、それは間違いでした。艤装中の大和から戦後の大和の生き残りの方の生活までが、インタビューや史実に基づいて、時系列的に克明に記述されていました。この本を読んだせいか、上で「生き残り」という言葉を使うのに若干、ためらいを感じました。私の中には生き残った方を責めるような気持ちは毛頭ないことを念のため書き添えておきます。
ちょうど前巻を読み終わったところで、メインキャスト決定を知りました。森脇庄八役として反町隆史さん、内田守役として中村獅童さんだそうです。でも、実は本書中にはこの二人の役名の人は出てきません。
それでもこの本を読んだ人であれば、森脇庄八は烹炊所の主計兵であった丸野正八氏が、内田守は柔道部員だった内田貢氏がモデルになっているのであろうことは容易に想像がつきます。
二人とも大和との関わりは深く、運良く生き残った人に入るわけですが、特に内田貢氏と大和との関係は彼一人でも物語になるようなものです。彼は艤装中から大和に関わりました。大和の上では山本五十六長官に気に入られ、長官の私室にも出入りをしていました。しかし、結果的にこれが彼を沖縄への水上特攻の大和へ乗り込ませることになるのでした。本来、彼は怪我療養のために病院にいて、沖縄へ向かう大和には乗る人間ではなかったのです。ところが、特攻の直前、大和にもぐりこんでしまうことになります。そのあたりの顛末は前巻を読み終わるとわかりますので、秘密にしておきます。この逸話を読めば、私が監督でも内田氏を主役に話を進めると思います。
そして、その内田氏を中村獅童さんが演じます。彼のキャラクターは、まさに私のイメージする内田氏そのものです。まさにはまり役だと思います。
しかし、本書中では二人の接点は確か無かったと思います。映画化するにあたり脚本は監督の佐藤純彌氏が作ったようですが、この脚本の良し悪しが直接的に映画の出来を左右するのではないかと思います。ちなみにこの監督は、「新幹線大爆破」、「人間の証明」、「野生の証明」などを撮っている監督です。見ごたえのある作品に仕上げてくださることでしょう。
ひょんなことから「>戦艦大和発見」を読み、その縁で「男たちの大和」の映画化を知り、原作も読みました。そして、60年前の今日4月7日は大和が没した日でもあります。何か因縁めいたものを感じざるを得ません。
大和を通して、近いようで遠い過去にいろいろと思う今日この頃なのでありました。