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井の頭自然文化園の自転車

東京都建設局公園緑地部管理課の所管の元、財団法人東京都公園協会によって管理されているのが有名な井の頭恩賜公園、通称「井の頭公園」です。そして、その一角に東京都建設局によって運営されているのが井の頭自然文化園という動物園です。どちらも井の頭公園なのでしょうが、自然文化園は大人400円の入場料が必要です。子供は小学6年生まで無料なので良心的な価格設定ですが、周りは住宅街のようで近所に住む人は1,600円出して年間パスポートを買うのが一般的なのでしょう。上の写真の通り入り口の前には近所の人が乗り付けてきた自転車でいっぱいでした。

園内には100円で乗れる小さな「ゆうえんち」など色々とおもしろいものがあるのですが、話が拡散してしまうので今回は「はな子」さんについてお話したいと思います。

井の頭自然文化園のはな子さん

はな子さんはアジアゾウです。昨年58歳を迎えたというから驚きです。昭和24年9月にタイから日本の上野動物園にやってきました。そして、昭和29年に井の頭公園に移ってきてから今日までここにいます。戦後の日本人を定点観測してきた生き証人と言えましょう。象といえどもはな子ではなくはな子さんと「さん」付けで呼びたくなる歴史があります。

そして、このはな子さんは、戦後日本に初めてやってきた象なのだそうです。私はこの話を読んだ時に引っかかるものがありました。

何を思い出していたかというと、アニメ映画の「象のいない動物園」です。戦争で両親を失った兄と妹、二人は靴磨きで生計を立てています。二人で動物園に象を見に行くとそこには象はいません。落胆した二人は名古屋まで象を見に行くことを決心し一所懸命働き希望をつなげます。ところがやっと名古屋に行けるめどが付いたところで貯めたお金を盗まれてしまいます。これは見ていてあまりにも悲しすぎる展開ですが、インドからインディラという象が贈られたことがわかり、二人はその象が動物園にやって来るのを見に行くというお話です。

この話は事実に基づいたものだということなので、ここに出てくるインディラという象が戦後初めて日本にやってきた象なのかと思っていたのです。ところが実際は、はな子さんの方が先だったのですね。NPO法人 日印交流を盛り上げる会の「象のインディラ物語り」にもはな子の方が一足早く動物園入りしたと書かれています。

インディラがインドのネール首相から贈られたものであるのに対し、はな子さんが「マスコミ大手の二社(Wikipediaによると読売新聞社と講談社)」によってタイから輸入されたものである点が大きな違いなのでしょう。確かに物語的には買ったものよりも贈られたもののほうが感動的です。これは仕方ありません。はな子さんには何も非が無いのですが・・・。

井の頭自然文化園 はな子さんのデッキブラシ

はな子さんを見ていたら鼻に何かを握って体に押し当てていました。よく見るとそれはデッキブラシの頭のようでした。うまい具合にブラシで足をこすっていました。さすが象です。器用な鼻を見ているとどうしても擬人化してしまいます。何を考え戦後の日本人を見てきたのか聞いてみたくなりました。

井の頭自然文化園 はな子さんを取材する人たち

私が行った日は大きなビデオカメラを持った人たちが何かの取材に来ていました。白い服を着た人がレポーターのようです。

長生きしてもらいたいですね。


はな子、ありがとう」 志茂田 景樹 (著)