在米中はスーパーマーケットで良くこのSPAM(スパム)見かけました。基本的にアメリカのものは大味なので手を出さなかったのですが、先日、ふとしたはずみで買ってしまいました。
普通のSPAM(スパム)には見るからに大味そうな絵が印刷されていますが、今回買ったものは「FOOD SERVICE USE ONLY」と書かれているように業務用なんでしょうかね、絵が印刷されていませんでした。あの絵が無いためか、つい魔が差してしまったようです。
SPAM(スパム)はHomel Foods(ホーメルフーズ)社によるもので、アメリカを代表する豚肉の缶詰です。語源は、"Spiced Ham"です。
でも、最近ではSPAM(スパム)というと迷惑メールをイメージすることが多いです。なぜ、迷惑メールのことをspam(スパム)と呼ぶのでしょう。これは、SPAMの"SPAM and the Internet"を読むとわかります。昔あった>Monty Python(モンティ・パイソン)のスキットで、バイキングたちが"spam, spam, spam..."と歌う声がどんどん大きくなるものがありました。その結果、他の会話が聞こえなくなるのですが、これが迷惑メールによって他のメールが埋もれてしまうことに似ているからだそうです。このスキットはGoogle Videoで見られました。
同社の現在のスタンスは、商標としてのSPAM(スパム)は守るけれど、スラングとして迷惑メールをspam(スパム)と呼ぶことには反対しないというものです。ただし、商標のSPAMと区別するため、小文字でspamと書くべきだとしています。だから、迷惑メールのことを大文字でSPAMと書くのは良くありません。
さて、さっそく食べてみました。薄くスライスしてフライパンで軽く焼くのが一般的な食べ方のようですが、せっかくなのでハワイが誇る「スパムむすび」を作ってもらいました。これはSPAMとご飯と海苔があれば作れるもので、ご飯の上にSPAMをのせて海苔で留めるとか、太巻きのようにご飯とSPAMを海苔で包むとか、バリエーションは色々あるようですが、この3つを一緒に口に入れるというコンセプトはみな同じです。Homel Foods社のレシピにも紹介されています。
一口食べて、「あ、思ったよりウマイ」と思った次の瞬間には「ちょっとショッパイ」と感じたというのが第一印象です。味は良いんですが、ちょっと塩気が強すぎるようです。案の定、大味だったのでした。
これをもって、やっぱりSPAM(スパム)は日本人向けではないのかなあと早合点しそうになりましたが、それは大きな誤りでした。なんと、沖縄には米Homel Foods社と資本・技術提携した沖縄ホーメルという会社があって「うす塩SPAM(スパム)」という商品を販売しているのでした。恥ずかしながらまったく知らなかったのですが、沖縄ではSPAM(スパム)はとても一般的な食べ物なんだそうです。戦後、沖縄がアメリカ統治下にあった歴史を感じざるをえません。
ということで、今度はうす塩SPAM(スパム)にチャレンジしてみたいと思います。でも、どこに行けば買えるんでしょう。ネットでは販売されていました。やっぱり、これでしょうか。
沖縄にランチョンミートが入ったのは矢張り戦後の占領時代のようですね。
戦後日本各地をパン食を推進する料理教室のバスが巡回したのと同じ仕組み──米国の剰余産品の消費地拡大──で食文化における占領も進んだのでしょうね。
過激な地域主義を掲げるわけではないですが、今の日本はある意味世界の中で孤独なばかりか、年表の上でもどことなく孤独だなという寂しさを禁じ得ませんね。