サービスの達人たち―ヘップバーンを虜にした靴磨きからロールスロイスのセールスマンまで
モノ作りの職人の場合、彼らが作ったモノは形として残ります。でもサービス業の場合、それがありません。著者は、そんなサービス業のプロたちの技術を記録しようとこの本を書いたそうです。でも、編集者は別の視点からこの本を捉えていました。都市に住む人たちのセンスを表現しようと考えたのだそうです。確かにサービス業は人の集まる都市でなければなりたちません。
本の中にはいろいろなサービス業のプロたちが出てきます。高級外車ロールスロイスの営業マン、東京の天丼屋、銭湯の三助、ウィスキーのブレンダー、伝説のゲイバーの話、電報マン、新宿のナンバーワンホステス、興行師、靴磨きとその種類は多岐に渡りますが、一環しているのは、やはりプロと呼ばれるにはそれなりの素養をもっているか、努力をしているかということでしょうか。
歌の歌詞ではないですが、ナンバーワンになれなくても、ここに出てくるようなオンリーワンになれれば幸せだなと思います。でも、よく見ると、この本に描かれているようなサービスを提供する舞台は年々少なくなってきているように思います。マニュアル通りのサービスで、誰からも均一のサービスを受けることができるようになった代わりに、サービスを提供する人の顔は見えなくなってきているのでしょう。
その点が、少し、残念に思うところです。