渡辺謙さん主演で現在公開中の映画「明日の記憶」の原作本です。映画も見に行きたいのですが時間的に難しいので、原作本を読みました。
既に表紙は渡辺謙さんと樋口可南子さんになっていました。本を読んでいると、頭の中には二人が出てきて演じてくれます。これは「博士の愛した数式」を読んだ時と同じです。
物語は50歳になる広告代理店に勤める部長が若年性アルツハイマーを発症するというものです。直前の短期記憶から失われていき、最後は自分の体もコントロールできなくなる病気です。そのような病気の宣告を受けた本人が自ら経過を語る形で本が記述されています。だから客観的におかしな行動があっても、読み手はそれを前後関係から想像するだけです。とてもせつなくなります。特に最後の終わり方は昔舞台を見た「アルジャーノンに花束を」を思い出してしまいました。
記憶を失うというのはとても怖いことだとわかります。徐々に記憶を失う事実に直面する主人公の苦悩がよく伝わってきました。
この映画は、渡辺謙さんがたまたまロサンゼルスの本屋で手にとり、自ら映画化しようと決めたものだそうです。先日、テレビでそう語っていました。ご自身の闘病体験を通して、生半可な気持ちではできないという理由からこのような病人の役は意図的に避けてきていたそうですが、その気持ちを変化させる何かがあったのでしょう。やっぱり、映画が見たくなるのでした。
映画の公式サイトにあるキャストを見ると、なるほどと思わせる配役です。原作にはないキャストやエピソードもあるようなので、どう映画化されているのかとても気になっています。
ところで、渡辺謙さんといえば今度「硫黄島からの手紙」で栗林忠道中将を演じることになっていますが、私の中では「御家人斬九郎」の役が一番好きです。独眼竜政宗のイメージが残っているからでしょうか。できれば、また見たいです、斬九郎。