寺山修司というのは何者なのだろうと常々思いつつ、この歳まで来ました。名前は知っていて、例えば「書を捨てよ町へ出よう」なんてことを語った人であることくらいは知ってました。一応、天井桟敷も知ってました。でも、それ以上のことは何も知りません。
本書は寺山修司のスタッフをしていた著者が寺山修司について語った本です。
まず、本当にマルチな才能をお持ちで、色々なことをされてきたことがわかります。「戦争は知らない」とか、あしたのジョーの主題歌など、今でも歌われている曲の作詞もされているようです。
また、色々な人と交流されていたこともわかります。唐十郎氏などはすぐに納得できるのですが、山田太一氏とは大学時代から深い交流があったそうです。このことには驚きました。例えば、山田太一氏の「ふぞろいの林檎たち」には高橋ひとみさんが出演されていますが、あれは寺山修司の依頼によるものとか。そういえば、本書では出てきませんでしたが、三上博史さんなども、寺山修司に育てられた人らしいですね。
本書を読んで、寺山修司は何でもできる人間であることはよくわかりました。凡人でないことは改めてわかりました。でも、いったい何者なのだろうという問いにはますます答えが遠のいていってしまったような気がします。何か、彼の映画や書いたものを見てみたくなりました。