昔BCLに夢中になった世代を中心にまたもやBCLのブームが起こりつつあるようです。確かに子育てにも一息つき、仕事もある程度先が見えてくるようになると、昔夢中になったものに目が行くのは自然なことです。
そんな私もBCLが少し気になっていました。
BCLとはBroadCasting Listener/Listeningの略で、ラジオを聞くことです。国内の普通の中波放送などはそれはそれで奥が深いのですが、一般的には海外の短波放送を聞くことが多いようです。聞くだけでなく受信報告書を書いてその放送局に送ると、ベリカードと呼ばれる受信証明書を送り返してくれるという見返りもあります。
私もいろいろもらいました。中でも気前が良いのが北朝鮮の朝鮮中央放送でした。主体(チュチェ)思想に関する大きな本をドカンと送ってくれたりしました。後から拉致事件のニュースで、朝鮮中央放送のリスナーも拉致対象者のリストに入っていたという話を聞いてびっくりしたものです。
そんな短波放送を久しぶりに聞きたいと思っていたわけですが、残念ながら昔使っていたラジオは手元に残っていません。それでも何か聞きたいと思って物置から発掘したのが、写真の真空管のラジオです。Onkyo製でOS-195というラジオです。
電源を入れてから真空管が温まるまでの待ち時間が何とも言えず良い雰囲気を作り出してくれる時間です。このラジオにはちゃぶ台が似合うだろうとわざわざちゃぶ台まで用意しました。久しぶりにこのラジオに火を入れましたが(まさしくこの表現がぴったり)、ちゃんと聞こえます。ボリュームに若干ガリがあるものの、なんとか短波帯をグルグルとサーベイすることができました。
これだけインターネットが発達した時代に短波放送はどうなっているんだろうと思っていましたが、短時間の間に中国、台湾、ロシアからの日本語放送を受信することができました。中国からの北京放送が盛んにネットのURLをアナウンスしていたことが印象的でした。確かに時代は変化しているようです。
秋の夜長にゆっくりと短波放送に耳を傾けるのも一興ですね。
夜中にPhasingと特有のエコーをともなうたどたどしい日本語が聴こえてくると、オカルト的な畏怖と遠い遠い場所への憧れの入り混じった複雑な心持で聴いていたものでした。
大袈裟な行進曲や民謡、クラシック等もあの変調で聴こえてくると裏に何かとんでもない意味を孕んでいるように思ったものです。頭の中はウルトラシリーズの他惑星人の会話がオーバーラップしたり(年齢露呈w)
まさにDigitでなくAnalog(類推)の醍醐味ですね。
幼少の頃のあの怖さを無線で表現してみようと真似した事があるのですが、今のところ共感者がおりません。