いわずと知れた世界的トップ企業、トヨタ。勝ち組として、最近さらにその内部の研究が行われているようです。この本は、そんなトヨタのトヨタ方式を、人づくりの観点から紹介している本です。
トヨタといえば改善につぐ改善による継続的発展を是とする社風が有名です。そして、このトヨタ方式を取り入れようとする企業はたくさんあります。なるほど、すばらしい発想ではあるのでしょうが、学生時代に「自動車絶望工場」なんかを読んだ身としては、単なる労働強化との違いは何なのだろうと気になってしまいます。
ということで、手始めに読んでみたのが本書です。
もともと著者はトヨタの中と外でトヨタ方式の普及に力をいれていた方なので、労働強化がどうのこうのという話は当然出てきませんが、トヨタ方式の第一人者大野耐一氏の言葉として次の話がありました。
ロボット化の一番のニーズは、原価が安くならなければおかしいということ。その次に危険な仕事ということに対しては、原価をある程度犠牲にしても、人間尊重という意味で使う場合もあり得る。危険な仕事、あるいはいやな仕事でも、ロボットでやれんようなことは、これは人間がやらなければしょうがない。けれども原価が上がるから危険でも人間にやらせるという、いわゆる人間無視の考え方は、非常にいけない」
題名に関する話題が4ページに一つずつエピソードを添える形で紹介されています。ハウツー本に近い軽さはありますが、逆にイメージをつかむためのとっかかりとしてはとても読みやすい本だと思います。
この本に書かれていることが実践できれば強力な組織が作られるのでしょうが、今までの雰囲気を壊して新しい職場作りの導入は難しそうです。そのあたりのエピソードについては4ページではなくトヨタ方式導入記のようなものとしてまとまった本が読みたいと思います。