今回の東北地方太平洋沖地震において被災された皆さんには心よりお見舞い申し上げます。

 さて、今回の被災地の状況をテレビで見ていると、とても気になることがあります。建物の屋上などに取り残されて救助を待つ人達のことです。トランシーバーさえあれば・・・という気持ちです。

 「SOS」と路面に書いて助けを待っているところをみると携帯電話その他の有効な通信手段は持っていないものと思われます。携帯電話が使えたとしても通信がかなり制限されているのは容易に予想できます。

 彼らにしてみれば救助のヘリなのかマスコミのヘリなのか区別ができないのでしょう。マスコミのヘリに向かって手を振り助けを求めています。テレビを通して見る彼らの姿には、見ているだけで何もしてあげられない気持ちに申し訳なく感じます。気づいてくれているのかどうか、いつ助けてくれるつもりなのか、それすらわからない彼らの疲労感は尋常ではないはずです。

 一番の問題はコミュニケーションが取れないこと。お互いの状況がわかれば救助する側は優先度付けをすることができ、救助される側は助けてもらうことが確約されて少しは精神的に落ち着く事ができるのではないかと考えます。

 固定電話や携帯電話のように大きなインフラが必要無く誰でも簡単に遠くとコミュニケーションが取れる手段といえば無線です。アマチュア無線のように免許が必要なものは敷居が高いですが、特定小電力トランシーバーであれば家電量販店やホームセンターで簡単に買うことができます。誰でも買った日から免許無しで使えます。

 この特定小電力トランシーバーが、一家に一台とは言わないまでも、学校や病院、公的機関に設置されていれば、今回も情報のやりとりにだいぶ活躍したのではないかと今さらながらに思います。私はこの特定小電力トランシーバーで遠距離通信を楽しむことを趣味にしていますが、同じ仲間の中には「非常時には1chをワッチしよう!」という運動をされている方もいます。特定小電力トランシーバーの出力は10mWと微弱ですが、困った時はお互い様。近くにいる人とさえ交信できれば広い地域での情報のやりとりが可能になります。

 インフラとしての通信手段が損壊しても使うことができるのが無線通信です。再評価されることを望んでやみません。