英語の品格

 「やっぱりそうだったのか」って感じです。インターナショナル新書「英語の品格」(ロッシェル・カップ、大野和基 著)を読みました。

 英語はストレートで大雑把な言語というのは大きな誤解で、実は婉曲的な丁寧な表現を必要とする言葉というのが、本書の主張です。これには大きく思い当たる節がありました。

 20年ほど前になりますが、アメリカに行って初めて生の英語に触れた時、失望感は徐々に驚きに変わりました。何言ってるのか良く聞き取れないのは覚悟してはいましたが、少しずつ聞こえてくるとwouldやmindなど自分だったら使い方が良くわからない単語が多用されていたのに気づきました。実は婉曲表現のオンパレードだったのですね。なんでも良いから声に出さないと英語は上達しないよ、とは言われていたものの、自分の表現レパートリーには無いやり取りを聞いてしまうとさらに声が出せなくなったのを覚えています。

 今回、改めて高校の時の英文法の教科書を眺めてみました。この教科書は結構シンプルにまとめられているので、卒業後30年たった今でも手元に残しています。なるほど、納得。丁寧な表現で良く使われる仮定法は英文法の学習の最後の最後なのです。何となく理解してテストには通用したものの、実践するには程遠いレベルの学習でした。その他の丁寧な表現についても、Do(Would) you mind...? が少し説明されている程度。これでは日本人の英語はぶっきらぼうになってしまいますね。

 日本語は人間関係の上下を意識して使う言語であるのに対し、英語は横のつながりを重視する言語という説明が本書の中にありました。みな平等であるから、子供に対しても配偶者に対しても丁寧な表現を使うそうです。これを読んで何となく日本人の誤解がわかりました。実は日本で放送されているアメリカドラマの日本語吹き替えが良くないのではないかと思います。みんなタメ口ですから。英語では上下隔てなく同じようにしゃべるのは日本人でも良く知ってますが、あのタメ口の吹き替えを見ていたら、英語はストレートな言語なんだと思い込んでしまいます。

 「やっぱりそうだったのか」の気づきは嬉しいものの、20年前から英語力の向上の無い私は、今後どうしたものかと、悩みはつきないのであります。