人間ドックを受けてきた話題と、そこから昨年の注腸検査の思い出を語りましたので、大腸ついでに内視鏡検査についても書き留めておきたいと思います。肛門から挿入された内視鏡が小腸の手前、盲腸まで送り込まれてしまう検査です。

便潜血検査が陽性にはなったものの、その後の注腸検査で異常なしの結果を勝ち取ったので問題なしだと思っていたところに産業医の先生から呼び出しがありました。先生によると注腸検査だと患部の見落としがあるそうで、念のため内視鏡の検査を受けておいたほうが良いとのことでした(先生によって色々な意見があるのは人間ドックで書いた通りです)。

注腸検査が決まった時から色々とインターネットで調べていた私は、内視鏡検査は巧拙の違いがはっきり出る検査で、下手な人に検査してもらうとかなりの苦痛だという知識を得ていました。そんな話をすると、上手な先生を紹介してあげましょうと本郷メディカルクリニックを紹介してくれました。ここの先生は「内視鏡・COM」や「大腸・COM」も運営されている専門の先生でした。ウェブサイトを見た限りでは確かに安心して受けられそうです。

検査の予約は電話でしました。産業医の紹介状は当日持って来れば良いとのことで、検査の前準備に使用する薬剤一式も郵送してくれました。つまり、初めて病院に行く日が検査当日になります。

前回の注腸検査では職場でも検査食を食べたりしなければならなかったので、今回は月曜日を検査日にしました。これならば、前日の準備があったとしても自宅で行えるからです。ところが今回は特に検査食もなく前日の夜も軽く食べることができてしまいました。

前日の夜からマグコロールを飲んで寝るのは同じですが、大変なのは検査当日でした。午後からの検査に備えて時間をかけて2リットルのマグコロール溶液を飲まないといけないのです。2リットル飲むといえばニフレックが有名ですが、マグコロールでも同じです。飲んでは出して飲んでは出してを繰り返します。最後の方は飲んでしばらくすると、肛門からレモン汁のような液体が出るような状態になりました。これでOKです。

電車で病院へ向かいます。途中、トイレに行きたくなるかと思っていましたが、それはありませんでした。もう出るものは無いようです。

病院は東京大学赤門のまん前のビルにあります。受付を済ませて待ちます。病院内では2リットルのマグロコールを飲んでいる人が結構いました。病院側では自宅で飲んで前準備を終わらせてくることを推奨していますが、自宅が遠いなどの諸事情で病院内で行うことも可能です。マグコロールを飲みながらポータブルDVDプレーヤー で映画を見ている人もいました。大腸内視鏡検査初心者からすると、彼などはその道のプロに見えました。

しばらくすると奥から呼ばれました。まずは検査着に着替えます。パンツはお尻の部分に穴のあいた何ともみっともないものです。着替え終わったら個人ごとに間仕切りされた待合室でテレビを見ながらもうしばらく待ちます。そして、次に呼ばれると検査室です。

検査室へは検査後に履き替えるパンツ持参で入ります。左向きに横を向いた状態でベッドに寝ました。看護婦さんによって左手の静脈には鎮静剤の準備がされました。注射器の先にチューブがあって、チューブの先の針が静脈に刺さった状態です。注射器には真っ白い液体が入っていました。

横になったままで、ここに来るまでの検査の経緯を先生に話しました。その後は特にやり取りも無く検査が始まりました。先生によって鎮静剤が静脈に注入されました。注射器からほんの少し注入されただけだったと思います。それでも一瞬にして体がフワっとして陽気な気分になりました。薬物依存症の人の気持ちが少しわかった気がしました。

検査を最初から最後まで見届けてやろうと思ってはいたのですが、鎮静剤のせいで少し意識が遠退いてしまったようです。「はい、一番奥(盲腸)まで到達しました」という先生の声に我に返りました。横たわったままで目の前のモニタには大腸内の映像が表示されていました。なかなか綺麗なもんです。ここからは少しずつ内視鏡を引き抜きながら説明してくれます。ちなみに挿入から引き抜くまで痛みや違和感はまったくありませんでした。努めて平静を装い先生にもいろいろと質問したはずなのですが、実はよく覚えていません。終わってから看護婦さんに「このパンツをはいてください」と言われた時には既にパンツに足が通っていたので看護婦さんによってはかされたのだと思うのですが、これもよく覚えていません。先生も被験者も気持ちよく検査を実施するための鎮静剤ですが、強すぎると被験者は寝てしまいますので、このあたりのさじ加減がまさに絶妙だったと言えるのでしょう。事前にお願いしておくと映像を撮影してDVDを作成してくれます(実費負担)。お願いしておけば良かったと思いましたが、後の祭りです。

着替えて待合室で待っていると診察室へ呼び出されます。そして、先生から結果の説明を受けました。盲腸直前の写真をはじめ4枚ほど写真をはさんだ結果シートをもらい、異常なしとのことでした。ポリープが見つかれば検査中に切除まで行ってしまうということだったのでそこまでは覚悟していたのですが、何もありませんでした。またも悪い方へ悪い方へ考えてしまっていただけに、ちょっと拍子抜けしてしまいました。

結果説明待ちの時におもしろいお知らせを見つけました。希望者には腸内善玉菌の処方箋を出してくれるというものです。つまり、内視鏡検査を受けた人は腸内が完全に空っぽになっているので、腸内の菌類についてもリセットした状態になっているのではないかという推測に基づいています。この状態で最初に積極的に善玉菌を摂取すれば腸内の在来菌分布を良い方向に持っていけるのではないかというものです。興味を持ったので処方箋をお願いしようと思っていたのですが、鎮静剤がまだ残っていたのか先生に言いそびれてしまいました。ちょっと後悔しています。

とまあ、私の中では「大腸内視鏡検査は快適なもの」という第一印象が出来上がってしまいました。もう3年は受けなくても良いでしょうと先生には言われましたが、また受けるとしたらこの病院になるのかもしれません。最初に待合室で映画を見ていた人も、こうしてリピーターになった人なのでしょう、きっと。


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