阪神淡路大震災から10年が経ちました。去年は新潟中越大震災があり、スマトラ沖地震にあってはいまだ被害状況すら確定できていない状況です。そんな中、「関東大震災」を読みました。
しばらく前に「人はなぜ逃げおくれるのか 」という本を読みました。この本で正常性バイアスという言葉を覚えました。人間は危険な状況におかれても楽天的に考え危険を認めようとしないというものです。2003年2月の韓国の地下鉄火災で大勢の死傷者が出た原因もこれに起因するのではないかと言われています。つまり、これまではそういう状況ではパニックが起こるのではないかと思われてきたわけですが、実はそんなパニックなど起こらないというわけです。
なるほどなぁと感心したのですが、人間がひとたびパニックに陥ると何をするかわからないと思わせるのがこの「関東大震災」でした。
世相を反映して多くの朝鮮人が意味も無く殺されました。疑心暗鬼に陥った暴徒は、日本人にも手を出す始末。正確な情報が伝わらないというのは時に恐ろしい結果をもたらすのだと実感しました。
そして、これは現代でも起こりうる話であることを再認識すべきです。昔に比べれば情報伝達の経路が多様化している分、可能性は低いのかもしれません。でも、完全に否定できるものではありません。
また、3万8千人の死者を出したと言われる本所被服廠跡地での惨劇の描写はこれだけでもこの本を読むに値します。地震で怖いのは火事であるという考えは間違いありません。ただ、大火とそれに伴う旋風の前に私だったらどう対処できただろうか、考えても答えは出せていません。あの場に置かれたら助かるか助からないかは運だと言えるでしょう。
かといって何かすることが無意味かというとそうは思いません。地震は周期的に必ずやってくるものですので、普段の備えをきちんとやっておくにこしたことはありません。これを機に何かしたいと思っています。そんな気にさせる本なので、できるだけ多くの人に読んでもらいたいと思います。