今週に入ってあちこちからインフルエンザ流行の声が聞こえてきました。職場でもインフルエンザに認定されて休んでいる人が何人かいます。熱が少しあるのに職場に出てきている人もいます。でも、みなさんのブログを読むと今年のインフルエンザは熱が高くならないというではありませんか。できれば高くなくても熱が出たら病院に行って調べてもらいたいと思うところです。発症後48時間以内にタミフルを飲めば完治は間違いなく早いです。ここで少し触れていますが昨年の私がそうでした。

今年もインフルエンザの予防接種を受けました。家族4人、子供は2回接種なので、計6回の接種となり、金額面でもかなりの出費です。

昨年は予防接種を受けたにもかかわらず私も子供もA型のインフルエンザに罹患していまいました。つまり予防接種があまり役に立たなかったとうことです。そこで気になるのが今年のインフルエンザワクチンはどうなのかということです。

ワクチンを知るためにはインフルエンザウィルスについて少し知っておく必要があります。日本医師会の「インフルエンザQ&A」というページで勉強させてもらいました。現在、一般に流行しているウィルスは大別して3種類あります。A香港型(H3N2)、Aソ連型(H1N1)とB型です(ソ連という国はもうないのですが)。A型の分類にあるHやNはそれぞれ、HA(赤血球凝集素)とNA(ノイラミニダーゼ)の糖蛋白の種類を意味し、これによって分類されるようです。このHやNの数字が変わるようなウィルスが出現することを大変異と呼び、同じ数字の中で行われる変異のことを小変異と呼びます。大変異はスペイン風邪のような大流行を起こします。例えば最近騒がれている鳥インフルエンザはH5N1となり、これがヒト(なぜ人と書かないのだろう)の間で感染するようになると、誰も抗体を持っていませんので、日本でも3万〜4万の死者が予想されているそうです。

毎年のインフルエンザワクチンは過去の経緯からWHOが推奨を出し、それに基づいて各国がワクチンを決定します。A型(H1N1)/A型(H3N2)/B型の3種類のワクチンが混合されてはいるのですが、それぞれの中で小変異のあった複数のウィルスがあるので、その年のワクチンによっては流行と外れてしまうことがあるようです。実際のワクチン製造には時間がかかるため、流行期よりだいぶ前の予想に基づいているわけです。

この辺の難しさは「夕刊フジBLOG」の「インフルエンザ、今冬のワクチンは大丈夫?」や「Wired News」の「今冬のインフルエンザ予防ワクチンをめぐるジレンマ」を読むと良くわかります。昨年の場合、WHOはH3N2のワクチンとして流行の兆しが見えた福建株を使うかどうか悩んだのですが、結局使いませんでした。結果、福建株が流行し、ワクチンが効かなかったということのようです。大穴狙いで福建株を選定してくれていれば、昨年の私の罹患は防げたのかもしれません。今年は、これを踏まえてH3N2向けのワクチンとして福建株に有効なワイオミング株と呼ばれるものが選定されているそうです。意味は良くわかりませんが、今年のワクチンの詳細は以下の通りです。

  • A/ニューカレドニア/20/99(H1N1)
  • A/ワイオミング/3/2003 (H3N2)
  • B/上海/361/2002

ここでやっと本題に入れるのですが、気になるのは、今シーズンのこのワクチンが今流行しているインフルエンザに有効なのかどうかということです。いろいろな機関のサイトを拝見しているのですが、なかなか答えが見つかりません。インフルエンザ患者からウィルスを分離して認定することは多くの機関が実施しているようなのですが、どこもA型(H1N1)/A型(H3N2)/B型の選別までしか発表してくれていないのです。あちこちの分離状況を見ると今流行しているのはA型(H3N2)とB型になっていますので、やはり気になるのはワイオミング株の有効性についてなのです。

そんな中見つけたのが、愛知県衛生研究所の「インフルエンザウィルス分離状況」のページです。こちらのページはウィルスの分離状況とあわせて、今シーズンのワクチンの有効性についても必ず触れられています。これを書いている人は読み手がどんな情報を望んでいるかをよく心得ていますね。ありがたいことです。

断片的な情報ではありますが上記のページから判断すると、愛知県では今のところ今シーズンのワクチンが有効であると言えますね。とはいえ、今後どうなるか、まだまだ目が離せません。

今回インフルエンザワクチンの仕組みついて知ってふと思ったのですが、現在3種類に限定しているワクチンをもっと混合させてしまうことはできないんでしょうか。流行する可能性のある株をすべて取り込んでしまえば、大変異が発生しない限り、的中率の極めて高いワクチンが作れると思うのですが・・・。技術的にかコスト的にか何か問題があるのでしょうが、素人ながらにそんなことを思うのでした。