新風舎文庫「空白の五秒間―羽田沖日航機墜落事故」(三輪和雄著)を読みました。羽田沖日航機墜落事故とは、1982年2月9日、福岡発羽田行きの日航機が羽田着陸時に機長の異常な操縦によって羽田空港直前の海に墜落し、死者24名、負傷者150名を出した事故です(こちらの方の体験記が生々しいです)。
当時、この事故によって「逆噴射」という言葉が有名になったと記憶しています。
本書は、事故発生後の救出状況などが細かく記述されています。そしてその後、機長の周辺が、機長の分裂病の状況をきちんと認識できなかったのはなぜなのかについての考察が行われています。
今の私がこの本から事件前の機長の行動を見ると、素人でも精神的に問題があると認識できたのではないかと思ってしまうのですが、これは事故後、関連するいろいろな情報を見聞きしてきているからでしょうか(そうであれば、不幸な事故の教訓が生かされていることになります)。「宇宙から電波が来る」とか「盗聴器が仕掛けられている」などという言動が続けば、何かおかしいのではないかと思うような気がします。
ただ、そう思わせる兆候があったとしても、その気づきをうまく吸い上げるシステム作りはとても難しいと思います。軽はずみな発言はできないし、密告を奨励するようなシステムも受け入れ難いです。現在、どのような仕組みが構築されているのかも知りたい気がします。
JR西日本の福知山線脱線事故がありました。精神病ではないにしても、運転手の精神状態が事故につながった可能性は否定できないような報道がなされています。ヒューマンエラーから回復できる機械的な仕組みが無いのであれば、精神状態まで管理できる仕組み作りをしなければならない時期に来ているのかもしれませんね。