先日読んだ「笑うカイチュウ」の著者の本です。予告どおりさっそく2冊目となりました。1999年の本です。著者が朝日新聞に連載していた記事「清潔ニッポン健康学」をベースに、それに対する補講の記述を加えた本となっています。
「笑うカイチュウ」の時のような思わずニヤニヤしてしまう記述は少し影を潜めています。どちらかというとマジメに現在の日本人への警告を発している感じです。
一時期「抗菌」という言葉が流行りました。何でも抗菌処理しないと売れなかった時代です。でも、著者は言います。すべての菌を除外してしまうのはナンセンスであって、新しい耐性を持った菌の出現を促すだけだと。人間は菌と共生しているんです。皮膚の常在菌はその他の菌が繁殖するのを防いでくれているんです。大腸菌ですら体内でのビタミン生成には役に立っているんだそうです。
そんなことを知らずに抗菌・除菌に励んだ結果、何が起こったかというと、これまでには問題にならなかったような菌への集団感染です。人間としての最低限の免疫力すらも失ってしまったということでしょうか。
また、こんな「超清潔志向」の一方で、著者はペットに対する無防備も指摘しています。ペットにとっては何でもない菌や寄生虫でも人間にうつると怖いものはあるんです。
今回、この本で、朝日新聞に掲載された記事とその補講を続けて読むと、字数に制限のある新聞の記事だと著者の本意が伝わりにくいということがよくわかりました。新聞の連載を読んでいた人もぜひ、この本の補講を読んだほうが良いかと思いました。