井筒和幸監督作品「パッチギ」を見ました。
こういう映画はどう評価してよいものやらなかなか難しいです。舞台は1960年代後半の京都。在日朝鮮人・韓国人の問題が大きく扱われ、朝鮮学校と日本人学校の生徒の血みどろの喧嘩がメインとも言える様に物語りは進みます。そんな中にあって主人公の松山(塩谷瞬)は在日朝鮮人のキョンジャ(沢尻エリカ)に恋をします。そして、二人を結びつけるのは当時発売禁止になったフォークルの曲「イムジン河」です。
当時の問題をマジメに取り上げているのかと思うと、70年安保に関連した描写は一貫して笑いのネタになっています。学園闘争の集会に廃品を売りに行くくだり、高校の先生が毛沢東を熱く語るシーン、オダギリジョー演じる青年が突如としてヒッピーに変身するあたり、どれをとっても爆笑ものです。ちょっと高度な笑いです。
こんなに殴ったら死んじゃうだろうというシーンや完全に犯罪のシーンもあって、なかなか悩ましいのですが、最後に3場面がパラレルに走るクライマックスシーンと、エピローグで主人公とキョンジャがN360で楽しそうに出かけるシーンで一気に心地よい気持ちにさせてくれました。
観終わってしばらくたつと、もう一度観てみたい気持ちになる不思議な映画でした。