「クリント・イーストウッドの硫黄島の映画」で触れた「「玉砕総指揮官」の絵手紙」をさっそく手に入れ読みました。
硫黄島守備隊総司令官に任じられ同島で命を落とした栗林忠道中将が、アメリカ留学中に長男太郎君へ宛てた手紙と硫黄島から次女たこちゃんへ宛てた手紙、また最後に家族に宛てた手紙が収録されています。
硫黄島は言わずと知れた日本、アメリカともに多くの死傷者を出した戦場です。栗林中将は地下壕を掘り、5日で占領する予定の米軍を36日間も苦しめ続けたと言います。簡単に玉砕することを認めず少しでも長く相手を苦しめる戦術はその後の米軍による日本本土上陸の戦略にも影響を与えたであろうと読んだこともあります。最後の決別電文は有名で、文語調のそれは恥ずかしながら私にはわからない部分もありますが、最後の思いが良く伝わってきます。
以上から私がイメージしていた栗林像は、よくある無骨な軍人でした。ところが、これとはまったく異なる栗林像が本書には描かれています。家族想いで子供に対する優しい言葉の数々が手紙として残されています。
巻末の説明を読むと、栗林中将はかなり頑固な人だったようです。仕事でのそういう面と本書にあるプライベートな面の落差はとても大きく、硫黄島での司令官としての任務は本人も辛かったのではないかと考えたりもします。アメリカ留学でアメリカの国力を知っていただけに色々と考えるところも多かったのではないでしょうか。
留学中に太郎君に宛てた手紙は当時まだ字の読めない太郎君のために絵がたくさん描かれていてとてもユーモラスです。アメリカでのドライブの様子を手紙にしてきたりと、こちらは読んでいてとても楽しいです。
解説を書かれた枝川公一氏のその解説はこちらから読むことができます。