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セブン・イヤーズ・イン・チベット―チベットの7年

 映画化されてブラッド・ピットが主演をしたので日本でも話題になりましたが、その原作本を読みました。

 オーストリア出身の著者は、インド滞在中に戦争が勃発し、収容所に入れられます。しかし、自由を求め脱走を企てます。中国に駐留していた日本軍に助けを求めようとしていたようです。二度目の脱走で、チベット入りします。そして、そこでチベットが中国に侵略されるまで過ごします。その記録をつづったのがこの本です。

 前半は、収容所の脱走からチベットの首都ラサへの到達までの長い話が続きます。チベットへの外国人の入国は認められていなかったため、チベット国内でもたくさんの困難が待ち受けています。それでも、あの手この手を使い、何とかラサまで辿り着くことができました。2年です。自由を得るために逃亡を続けた期間です。紙面上でも多くのページがここの割かれています。

 ラサについたらすべてが順調に進んだというわけではありませんが、それでも徐々に信頼を得ていく姿が描かれています。最後にはダライ・ラマの個人教師を行うまでになります。

 正直、ここから先が一番読み応えがあったように思います。著者は冷静にチベットを、そしてダライ・ラマ14世を見ています。当時、ダライ・ラマ14世はまだ少年です。それでも、好奇心が強く、向上心が高かったことがよく伝わってきました。

 著者は中国の侵略によりチベットを去りますが、その後のチベットは現在までも中国に弾圧されたままです。ダライ・ラマ14世はインドにチベット亡命政府を作って今日に至っています。これまで、ダライ・ラマ14世についてはあの優しく聡明そうなお顔のイメージしか私には無かったのですが、若い頃の楽しいエピソードを読んで親近感を抱くようになりました。ダライ・ラマ法王日本代表部事務所によると、11月には東京で講演もあるようです。平日でなければ行ってみたいものです。

 本書にはダライ・ラマ14世からも言葉が寄せられています。チベットの幸せだった日々を紹介してくれていることに感謝していますが、ここからは著者と過ごした日々が本当に楽しかったのであろう事も読み取れます。著者自身による50年後のあとがきも興味深いです。あれほど自由を望んだのに、このあとがきではイギリスの収容所生活はジュネーブ協定に基づいていて、快適な生活だったと、少し弁護調になっていました。これには50年という月日の長さを感じてしまいました。

 本書を読み終えると、やはり映画が見てみたくなりました。1997年の映画なので既に10年前になるんですね。今度、見てみたいと思います。