上坂冬子氏の「北方領土」上陸記を読みました。私の小さい頃はもっと北方領土返還運動が盛んだったように思うのですが、最近では残念ながらあまり大きな盛り上がりを見せていません。この本は、「上陸記」とは言うものの、ビザなし渡航に関する記述はその一部で、北方領土全般について書かれています。この本を読んで、北方領土の歴史的な経緯から現在の状況まで一通りを知ることができるかと思います。
恥ずかしながら、これまで北方領土についてはほとんど知識がなかったことを改めて認識させられてしまいました。やはり、どう歴史を解釈しても択捉島、国後島、色丹島、歯舞諸島は日本固有の領土だということがわかります。根室のノサップ岬から沖に出て1.85キロメートル先からロシア領というのは誰が考えてもおかしいです。
昔、北方領土に住んでいた人たちの話を読むと、むなしい気持ちがひしひしと伝わってきます。幸せだった頃の写真を見ると、そこが戦後60年にわたり占領されていて、いまだ何ら進展がないことに不思議な気持ちがわいてくると思います。真珠湾攻撃の艦隊が択捉島のヒトカップ湾から出航したのは有名ですが、リンドバーグ夫妻が太平洋横断の途中、国後島に不時着した話などは初めて知りました。その時の写真も掲載されています。
橋本首相とエリツィン大統領の交渉の後、2000年までに北方領土を返還するという山場があったという話は興味深いです。その流れは森首相とプーチン大統領の世代まで続きますが、ことある毎に返還を阻害する事象が発生します。これには歴史のいたずらを感じずにはいられません。
この本を読んで知ったのですが、1982年に制定された「北方領土問題等解決促進のための特別措置に関する法律」という法律により、希望すれば日本人は誰でもこの「日本の領土」に本籍を移せるのだそうです。著者は2004年に本籍を国後島に移したそうです。個人的にはとても興味がありますが、さすがに実行するまではできそうにありません。
僕は正直その問題の本質については無知だと痛感しています。この「北方領土」上陸記を読み見識を深めようと思います。素敵な本を紹介してくださってありがとうございました。
最近、北朝鮮の核実験で極東がより一層緊張をましていますよね。以前読んだ村上龍の「半島を出よ」のようにならないかと心配しています。
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