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長野県上田市 無言館

 長野県上田市に無言館というものがあります。信州の鎌倉とも呼ばれる塩田平の高台、独鈷山の裾野に位置し、別所温泉の旅行番組では必ず紹介される前山寺のすぐ近くです。

 窪島誠一郎氏が館長を務め、戦没画学生の絵や遺書、遺品などが展示されています。

 先日、拝見してきました。

 私が子供のころから入り浸っていた祖父母の家はここから車で5分ほどの場所にあります。この無言館そのものも、その本館となる信濃デッサン館についてもその存在は知っていましたが、いつでも行けると思うとなかなか行かないもので、とうとう今日まで来てしまいました。戦没画学生の絵が集められているということで単純に「反戦」がうたわれているのではないかという不安も足を遠のかせていた理由のひとつでした。

 無言館はちょっとした丘の上にありました。コンクリート打ちっぱなしの建物で見た目からも荘厳な雰囲気が漂ってきます。

 入り口に窓口はありません。重みのあるドアを開けばそこはもう展示室です。入場料は展示を見終わった後、出口で払います。一人500円〜1000円です。値段も決まっていません。

 私が訪れた時は、ちょうどバスの団体客が来た直後で、館内は多くの人でにぎわっていました。館内は十字になっていて、そのそれぞれの壁に絵とその作者のプロフィールが掲げられています。また通路の中央には遺品が並べられていました。

 私は絵のことはよくわかりませんが、彼らが残した絵が非常に強い力を発していることは私でもわかります。戦時中ということで、限られた時間の中、描き続けたいという想いを強く持って描かれたからでしょうか。あの雰囲気は私の表現力ではうまく表現できません。あまりいい加減なことは書きたくありませんので、あえて表現は慎みます。

 なお、館内のどこからも反戦色は感じられませんでした。これは完全に私の思い込みだったようです。もちろん、戦争が無い世界が良いのは間違いありません。でも、過去の戦争において戦った人たちの当時の想いを知れば、彼らを引き合いに出して簡単に反戦を唱えることほど失礼なことはないと考えています。この無言館のスタンスは事実を並べ、あとは見る人にいろいろ感じ取ってもらうことなのだと思います。10人いれば10人とらえ方が違うはずです。これには共感を覚えました。

 なるべく多くの人に訪れて欲しい場所のひとつです。