PR会社の認知度とはいかほどのものなのでしょう。アメリカの大統領選じゃなくても、日本の総選挙でも既に活躍しているご様子。どうやら、前回の自民党圧勝でも有名になったそうです。そんなPR会社のひとつプラップジャパンの社長である矢島尚氏による本です。著者は日本でPRの仕事に携わって既に40年だそうです。知らないだけでこれまでの日本でもPR会社は存在していたようです。
本当はノウハウ本のように見えるものはあまり読む気が起きないのですが、このプラップという会社はキシリトールや、タマちゃん騒動に一役買っていたと書かれています。これって気になりますね。なります、なります。
PRとはPublic Relationsの略です。大衆、公衆との関係ということです。日本だと何となく宣伝や広告と同義にように使われることの多い言葉ですが、まったく異なります。そのあたりの説明が具体例を持って示されています。広告はお金を払って広告枠を買いますが、PRは記者を相手にし、記者の言葉で紹介をしてもらいます。広告代理店とは完全に異なる分野です。広告では時には誇大とも言える宣伝をすることができますが、PRは対象の魅力を最大限に引き出すだけです。
さすが長年PRに携わってきた方だけあって、具体例がたくさんです。ヴィダルサスーン、低用量ピル、キシリトール、シーガイア、六本木ヒルズ、タマちゃんとなるほど、時の話題となるものの陰にはPR活動があったことがよくわかります。個々の話は本を直接読まれることをお勧めします。思い通りに世の中にPRできたら達成感のある仕事のような気がします。
また、最近では危機管理の一面としてもPRが利用されているようです。例えば、何か会社の不祥事があった時に、それによる信頼の失墜をいかにして最小限に抑えるかという話があります。これに対して、マスメディア向けの記者会見のトレーニングなどもあるようです。確かに、メディアに対する対応が悪く必要以上に信頼を失ってしまった会社は、思い出すだけでも結構ありますからね。
PR会社がどういう会社なのか知るにはもってこいの一冊だと思います。ちょうど武蔵野線が停電で止まってしまった日だったので、行き帰りの通勤途中だけで読み終えることができました。
>ノウハウ本のように見えるものはあまり読む気が起きないのですが
私もそうです。期待していたものより、薄っぺらい内容だったりするとガッカリしてしまいます(笑)
Tobaさんのおすすめ本は、けっこう間違えないので、いつも期待しています。