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お役所の潰れない会計学

 現役の地方公務員(関東地方の市役所)である方が書いた本であるところに何より興味がそそられる本です。そして、一見挑戦的なタイトル、気になります。

 既に夕張市の前例にもあるようにお役所でも潰れるところは潰れる時代になりました。でも、数から考えて、これは例外中の例外であって、民間企業に比べれば潰れていないでしょうという著者のご指摘。なるほど、言われてみれば納得です。お役所は基本的には潰れないようにコントロールされてきたのでしょう。

 そこで出てくるのが地方交付税とか、最近の市町村合併のお話です。なるほど、そういう流れがあったのね、と一市民としてよくわからない世界について知識を新たにさせてもらいました。

 お役所では民間企業で普通に使われている複式簿記ではなく、単式簿記というものを使うそうです。これはお小遣い帳に例えられるような単純なものです。でも、キャッシュフローがすぐにわかるなど利点もあるとか。あまり一般的ではない話題ですが、簡単に読める内容ですので一般教養のために知っておくと今後の話のネタに使えそうです。

 夕張市については、不正があった部分は叩かれて仕方ないが、その他のベンチャースピリットにあふれた部分はむしろ賞賛に値するのではないかと論じてらっしゃいます。この点、一納税者として賛成いたします。何事も無いようにただ予算消化だけを行うのではなく、民主的に選ばれた行政の長の下、民主的に選ばれた議員の監視機能や市民のチェックを得ながら、挑戦し続ける自治体のほうが属していて誇りが持てると思います。

 地方自治体の職員の方々、「潰れないように」なんていう後ろ向きな目標ではなく、攻めの姿勢で平成20年(2008年)をがんばってください。