屠蘇散

 お屠蘇(とそ)と言う言葉は良く使っていたと思います。でも、それは単にお正月最初に飲むお酒のことかと、日本人を40年やってきてずっとそう思っていました。実際には違っていたのですね。屠蘇散という薬効成分をお酒に漬けて作るのがお屠蘇なのだそうです。ならば、さっそく誤解していた40年間を取り戻せねばなりません。

 まずは屠蘇散の入手が必要です。でも、忙しくてなかなか探せずにいたら12月30日になってしまいました。近くのいわゆるドラッグストアを何軒か回ってみましたが、少なくとも店頭の見える場所に屠蘇散は置いてありませんでした。「屠蘇散ありますか?」と聞いてみても良かったのですが、「屠蘇散ってなんですか?」と聞き返されるのが怖くて聞くこともできませんでした。小心者です。

 結局、12月30日にネットで注文。その日のうちにメール便にて発送してもらいましたが、さすがに年内には届かず年明けに到着とあいなりました。上の写真の包みに入っていました。本当であれは大晦日に作って年明けに飲むのがお屠蘇のようです。

屠蘇散バック

 中はティーバックならぬお屠蘇バックとでも言うのでしょうか、そのままお酒に漬けられるような形になっていました。

 包みの説明によると、おとそは元々は中国で山椒(さんしょう)、防風(ぼうふう)、細辛(さいしん)、桔梗(ききょう)、大黄(だいおう)などの薬草を調合して酒に浸して飲んだのが始まりだそうです。平安時代の初めに日本に伝わりました。この商品(屠蘇散)の原材料名にはミカン皮、ケイヒ、サンショウ、オケラ、クローブ、ボウフウ、キキョウと書かれていますので、原料は若干オリジナルとは異なるのでしょう。

 独特の臭いがします。こういう臭いがあるからこそ効き目があるようにも思うのですが、私の周りではお焼香の臭いに似ていると形容した人もいました。言われてみれば当たらずとも遠からずです。

 ネットなどでみると日本酒にそのまま浸すのではなくみりんも加えると良いとありました。今回、初めてみりんをそのまま飲んでもみましたが、かなり甘いんですね、みりん。あれなら、飲みやすくなるかもしれません。ということで、日本酒とみりんの調合酒に屠蘇散を浸してお屠蘇を用意しました。

 そして、これでこの1年の無病息災は約束されたのでありました。せっかくのしきたり、大事にしたいなと思う今日この頃です。