大崎駅ナカの書店で見つけ、その挑発的な題名にひかれるものの、その場はスルー。その後、やっぱり気になって手に入れた本です。PHP文庫の本で吉越浩一郎さんと言う方が著者です。トリンプの社長時代に残業ゼロを実現したことのある方です。
日本のように残業が常態化している国は他には無く、諸外国で実現できているのに日本ではどうしてできないのかというのが大きな命題。その通りで、読み進めて行くとわかりますが、日本人の働き方を欧米化させていくべきと考えられています。自然な流れです。
残業が減らないのは日本のホワイトカラーの生産性の低さに起因すると考えられています。だから、仕事には厳しめのデッドラインを設定します。そして、追い込むとことで生産効率を上げる必要があると説かれています。ただ、そのデッドラインを守るために残業をしてしまっては元も子も無いので残業に対しては罰則を設けて残業ゼロを徹底します。その結果、残業は無しでも今と同じことができるようになるということです。追い込めば追い込むほど生産性は上がるものなのだそうです。
とはいえ、日本人独自の義理、人情の世界が出てきてしまうと不要な残業が発生してしまいます。それを防止するために日本人はもっとロジカルに物事を思考する必要があるとされています。仕事をする上で会社のためという大前提を掲げてロジカルに考えれば、やるべきことは自ずと一つに定まります。だから、これまで義理、人情で進めてきた仕事のやり方を、ビジネスライクにロジカルに行うようにし、これまでの義理と人情は潤滑油として少し残せばいいじゃないかとされています。
面白いのは会議についてです。この手の本では長い会議は悪ととらえられることが多い中、長い会議は良いことだと説かれています。なぜならば、会議は今ある問題点を皆で共有して解決していくものだから。朝の会議というのを実践されていて、1案件につき2分で解決していったそうです。そのためにはその案件の担当者が事前にみっちり準備をしておく必要があります。2分で解決できなかった場合、その案件は翌日の会議に持ち越しです。もちろん、担当者は残業無しで翌日までに再準備を徹底されます。
世の中で合理的で無駄の無い組織としては軍隊が理想だともされています。確かに共通の目的を持ってロジカルに考えれば進むべき道は明確になります。トップダウン的に組織が機能すればスピード感は格段に早くなるでしょう。つまり、定時間内というルールの中で徹底的に戦う組織が会社ということになります。定時後は自分のために使うべき、なのです。
だから、残業ゼロを目指すのであれば、組織として、また個人として上に挙げたことを覚悟して突き進むことが必要です。私は読み進めて行く上で結構ハードルは高いと感じました。残業は少ないにこしたことはありません。そこは大賛成です。けれど、それを実現するために定時間はガンガン追い込まれることと考えると、一概にそちらにすぐに変わりたいとも思えません。私が既に今のやり方にどっぷりだからでしょうか・・・。