中国の北京から蘇州まで行く用事があり、中国版新幹線と呼ばれる中国鉄路高速に乗る機会がありました。少し記録しておこうかと思います。北京から蘇州まで5時間。日本でもそんなに長い時間は鉄道に乗ったことがありません。飛行機で上海まで行きそこから鉄道という行き方もあります。でも、時間はそれほど変わらないそうです。また、この時期、天候のせいで飛行機は飛ばなくなることも多いというので5時間の鉄道を選んだ次第です。
CRHはChina Railway High-speedの略です。無線LANの規格のような高速鉄道の名前です。このCRHは、世界各国の高速鉄道の技術を導入しているのに中国はそれを認めようとしていないなどと言われています。ただ、そういうことを考えだすと楽しめなくなります。今回は純粋に高速鉄道を楽しんでみました。
出発地はここ北京南駅。雰囲気は駅というよりは空港に近いです。駅に入るには空港同様の金属探知のセキュリティチェックがあります。地下鉄に乗るのにも荷物検査があるくらいですから当然といえば当然です。
世界のマクドナルドや、美国加州牛肉面大王のお店などが並んでいました。
トイレには飲料水もありました。水筒やペットボトルに水を汲む人たちがいました。何となくこの蛇口に中国を感じたので1枚、パチリ。
改札は各ホーム毎にあります。中国では身分証明書が無いと旅行できません。我々日本人はここでパスポートのチェックを受けました。
ホームに下りると薄暗い中、高速鉄道「和諧号」がライトを照らして待っていてくれました。冒頭の写真です。
ホームではこれからの長旅に備えて喫煙している人がちらほら。本来は公共の場での喫煙は法律で禁止されているはずなのですが、黙認のようです。灰皿は無いので、ホーム上の花壇の土が灰皿代わりです。
ホーム上でフラフラしていたら、出発までまだ5分以上あるのにキャビンアテンダント(?)の女性が乗車するよう催促しにきました。定刻に出発するには乗客の協力が重要なのでしょう。
日本人は記念撮影が好きなのです。だから、上の写真のように写真を撮るわけです。でも、CAの方は心配なのでしょう。ずっと後ろで気にしていました。
5時間の長旅なので一等席です。二等席が日本の新幹線のように3列+2列なのに対し、ここは2列+2列です。さらに上のクラスだと2列+1列というグレードもありました。上の写真を見ると人が見えませんが、イスが大きいだけです。あちこちの席に人は座っています。
和諧号は定刻通り、北京南駅を出発。出発してすぐに検札がありました。機械では無くボードに挟んだ紙をベースにチェックしていたのに少しほっとしました。検札が終わると、今度は公安のチェックです。警察官でしょうか、水色の服を着た人が一人一人、身分証明書をリーダで読み込んで行きました。私はパスポートを差し出そうとしましたが、見ようともせず「あー」と言いながら行ってしまいました。
それが終わったら、今度は飲み物とお菓子の配布です。上の写真は翌日の和諧号の中でもらったものですが、一等席ではこういうサービスがあるようです。
和諧号は順調に走ります。乗り心地は良いです。昔の東海道新幹線などに比べたら快適です。線路がまっすぐというのもあるかもしれません。車両の前方には速度表示があります。私の見た最高速度は時速308kmでした。
車窓の景色はほぼ畑の茶色い風景。所々、車がほとんど走っていない大きな道路がありました。
ポツンポツンと定期的に携帯電話のアンテナが畑の中に建っていました。民家も無いのにどうしてこんなに携帯電話のアンテナがあるのでしょう。最初は不思議でしたが、よくよく考えたら、これは和諧号の乗客のためなのでしょう。車内では大きな声で会話する人がたくさんいました。私もたまたま日本から電話がかかってきたので300キロで走行しながらの通話を行いましたが、途切れることなく快適な通話ができました。
イスにはこんなサービスも。車内の前方にはスクリーンがありました。イスが高すぎて良く見えなかったのですが、ジャッキーチェンの映画を流しているようでした。ジャックがあるので音声や音楽を楽しむこともできるのでしょう。飛行機と違い、備え付けのイヤホンは無かったので詳細は未確認です。
客室と客室の間にはトイレや洗面所、荷物置き場などがありました。これは日本と同じです。飲料水もありました。
トイレには便器はなくこんな感じ。水を流すと一旦ためて気圧でバキュームする仕組みです。飛行機っぽい感じです。
お昼近くには弁当を売りにきました。30元と40元のものがあるというので40元のものを買いました。私にはおいしく感じましたが、これは意見のわかれるところかも。飛行機の機内食に似ているかもしれません。ちなみに私は中国のどんなお店でもご飯を不味く感じたことがありません。最近、味覚に繊細でない舌に感謝しています。
5時間の乗車でさぞかし退屈になるかと覚悟していましたが、不思議なことにあっという間に時間は流れました。車窓の風景も茶色から緑色の田んぼ中心の風景に変わり、蘇州北駅に到着です。ぱっと見、東北新幹線開業当初の駅を思い出させてくれる風景です。何も無い所に駅ができたようです。
翌日の切符を買うために列に並びました。身分証明書を持っている中国人は自動販売機で買うこともできるそうですが、パスポートを見せる必要のある人は窓口で買う必要があります。自動販売機はガラガラなのにどうしてみんな並んでいるのでしょう。
翌日は、蘇州北駅から上海虹橋駅まで写真の和諧号を使いました。
この日乗った車両には各座席にコンセントが付いていました。車内でパソコンを使う人が多くいました。
ドアのそばでこんな表示を見つけました。子供の身長を測るもののようです。これで料金が決まるのでしょうか。
上海虹橋駅ではたくさんの和諧号が並んでいました。ホームの端まで行っても携帯のカメラではここまでしか引くことができないのが残念です。気分はTOKIOの「AMBITIOUS JAPAN」です。
でも、不思議なことに記念撮影しているのは我々外国人観光客ばかり。中国の子供たちも乗車していましたが、ワクワクしないのでしょうか。今、日本では「新幹線YEAR2012」のテレビCMが流れています。あそこに出てくるように新幹線の前で記念撮影した記憶のある日本人は多いはずです。先端技術のシンボル的存在だからでしょうか。時代と共にみんなで新幹線を育て上げてきたという気持ちがあるのは確かです。ナレーションの「ただの乗り物なのに、いつもちょっとワクワクする」はまさにそれ。この感覚を中国の人たちが持っていないとしたら、それは少しかわいそうな気もします。
外国の鉄道乗ると面白いですよね!!
今度秋津会でいろいろお話お聞かせ下さいね!!