
大分ホーバードライブが運行するホーバークラフトに乗ってきました。とても素晴らしい体験だったので、記憶が新しいうちにこの感動と、乗ってみて感じた「これからの期待」を書き残しておこうと思います。
憧れの未来の乗り物は、今や「世界有数の貴重な存在」に
子どもの頃、学研の図鑑で見てひときわ感動したのがホーバークラフトでした。リニアモーターカーと並ぶ「未来の乗り物」としてずっと気になっており、昨年(2025年)の夏に大分で運航が再開されたのを機に、絶対に乗りに行こうと心に決めていました。
しかし、帰ってきて改めて調べてみて少し驚きました。未来の乗り物だと思っていたホーバークラフトは、実はすでに「過去の乗り物」になりつつあるそうです。現在も使われているのは主に軍事的な用途で、民生用として定期運航しているのは、なんと全世界でイギリスと日本の大分の「2箇所だけ」。かつて各地で運航されていた機体は、すでに姿を消してしまっているとのことでした。
そんな世界的に見ても貴重なホーバークラフトに、今回は大分空港から大分市街地のターミナル(大分駅からは少し距離があります)まで乗船しました。
いざ出発!陸から海へのシームレス体験と驚きのドリフト

乗船の際、スーツケース等の大きな荷物は専用の置き場に格納し、高速船と同じような座席に座ります。シートベルトの着用も必須です。
エンジンが止まっている間は、船体下部の「スカート」と呼ばれる黒い部分がしぼんでいて少し寂しい姿でしたが、エンジンがかかると間髪入れずにフワッと浮き上がりました。車内からは外観を見られませんでしたが、きっと図鑑で見たあのカッコいいスタイルになっていたはずです。
S字になっている海に出るまでの誘導路は、まるでずっとドリフトしているような感覚で進みます。空気を上からスカート内部に送り込んで実際に浮いているわけですが、この大きな機体を浮かしたままドリフトさせて曲がっていくのは、素人目に見てもかなり特殊な操縦テクニックが必要だと分かります(実際、過去にこの誘導路で何度か事故も起きています)。
そして最も驚いたのが、コンクリートから土の上、そして海面に出る瞬間です(動画はこちら)。何かしらのショックがあるのかと身構えていたのですが、驚くほど「全く衝撃がありません」でした。この圧倒的なシームレス感こそが、海からの上陸に威力を発揮し、機雷や地雷にも強いという軍事用途で今も現役な理由なのでしょう。
海上に出てしまえば、乗り心地は高速艇と同じ感覚です。海の上を浮いて進んでいるという特別な感覚は薄れますが、その分、海の揺れをあまり感じずに快適に過ごすことができました。
厳しい現実と「上下分離方式」による再生

これだけ素晴らしい経験ができて、オンライン事前購入なら2,000円(現地購入で2,500円)という価格は個人的には「安い!」と感じました。しかし、競合するバスなら1,600円。少しの価格差や乗り場のアクセスの影響か、私が利用した時の乗客数は20人ちょっと……。正直、採算が心配になる人数でした。
気になって事業の仕組みを調べてみると、大分ホーバークラフトは「上下分離方式」を採用しているそうです。簡単に言えば、約41億円かけてホーバークラフト3機を購入・保有しているのは大分県であり、その貸与を受けて事業を運営しているのが大分ホーバードライブという形です。
(※この辺りの詳しい背景は、QUALITIESの記事「
観光の目玉へ!「遊覧運航」をもっと増やしてほしい

とはいえ、せっかく復活したこの素晴らしい乗り物、もっともっと利用者が増えてほしいと切に願っています。
実際に乗ってみて、一人の素人ながらに思ったことがあります。それは、「大分市街地と空港を結ぶ足」としてだけ売り出すよりも、「世界で2か所しか乗れない貴重な乗り物」という観光の目玉(アクティビティ)として、もっとアピールした方が良いのではないかということです。
実用的な空港アクセスとして見ると、風が強いと運航中止になりやすい点は飛行機に乗る前には少しリスクに感じますし、フライトに合わせたダイヤ設定も難しそうです。実際、私は羽田からのソラシドエアで11時30分に大分空港に到着しましたが、11時40分のホーバークラフト便には間に合わず、次の14時20分の便まで3時間近く待つことになりました。
しかし、「移動手段」ではなく「これに乗ること自体が目的」であれば話は別です。同じ便に乗っていた人たちを見渡しても、私のように「純粋にホーバークラフトに乗ってみたい!」という目的で来ている観光客が多いように見受けられました。
現在も遊覧運航は行われているようですが、ぜひこうした「遊覧利用」の便やプランをもっと増やしてほしいです。そうすれば、空港利用者に限らず、大分を訪れる多くの観光客を誘致できるはずです。
おわりに:この貴重な乗り物を未来に残すために
ホーバークラフトは、今や世界でここでしか味わえないような、本当に貴重で特別な乗り物です。
あのフワッと浮き上がる感覚、陸から海へ滑り出るシームレスな感動は、一度体験してみる価値が絶対にあります。この大分のホーバークラフトがこれからも長く運航を続けていけるよう、大分を訪れる方にはぜひ、この「世界的なレア乗り物」を体験しに行ってほしいと心から思います!