
皆さん、こんにちは!
先日、黒部ダムの関電トンネル電気バスに乗りに行ってきたのですが、実はその前に、富山県にある黒部峡谷(くろべきょうこく)のトロッコ電車にも乗ってきました!今回は、そのスリルと魅力がたっぷりの乗車記をお届けしたいと思います。
ちなみに「宇奈月(うなづき)温泉」と聞くと、昭和世代の私はついつい、昔の「うなずきトリオ」が歌っていた「うなずきマーチ」を思い出してしまうのですが……それはさておき(笑)。
命がけだった!?トロッコ電車の知られざる歴史

宇奈月温泉から出発するこのトロッコ電車(正式には黒部峡谷鉄道)は、もともと黒部峡谷の過酷な環境下で水力発電所を建設するために敷設された工事用の鉄道でした。その歴史は、あの有名な「くろよん(黒部ダム)」の建設よりもずっと古く、大正時代にまで遡ります。
秘境を走るため、昔から「ぜひ乗せてほしい」という一般の旅行者が絶えなかったそうです。しかし当時はあくまで工事用。「万が一、命を落とすようなことがあっても責任は問いません」というような誓約書に署名をし、いわゆる「便乗」という形で乗車していたというから驚きです。

現在はもちろん観光目的で安全に旅客運行されていますが、窓ガラスも壁もないオープン型の客車はスリル満点!走行中に手や顔を外に出せば岩肌や設備にぶつかり大怪我につながりますし、柵の低い鉄橋から下を覗き込むと「ここから落ちたら命はないな……」と足がすくむほどの高さです。安全第一で景色を楽しみましょう!
進行方向は「右側」が絶対おすすめ!

本来は宇奈月駅から終点の欅平(けやきだいら)駅まで運行していますが、2024年の能登半島地震の影響により、現在は途中の「猫又(ねこまた)駅」までの折り返し運行となっています。宇奈月駅から猫又駅までは片道約45分。猫又駅での20分間の折り返し休憩を挟むため、往復でだいたい2時間弱の充実した列車の旅になります。
乗車する際のアドバイスとして、宇奈月温泉からの出発時は「進行方向右側」の座席が絶対にお勧めです!黒部川の清流やエメラルドグリーンの湖面、迫力あるダムなど、見どころの多くが右側に集中しているためです。トンネル区間も多いものの、トンネルを抜けるたびに息を呑むような大自然のパノラマが広がります。ちなみに私は知らずに左側を陣取ってしまいました・・・。
道中では、富山県出身の女優・室井滋さんによる温かみのある車内アナウンスが流れ、沿線の見どころを楽しく、そしてわかりやすく解説してくれました。
日立製の電気機関車と、全国でも珍しい「猫又駅」


ちなみに、トロッコの客車を力強く引っ張っているのは気動車(ディーゼル)ではなく、日立製作所製の「電気機関車」です。駅の外には引退した車両が展示されており、実際に運転席を覗いてみたのですが、驚くほど狭く、過酷な環境で運転されていた方の苦労が偲ばれました。


そして折り返し地点の猫又駅に到着!
ここは観光のための駅というより業務用の駅といった風情で、正直なところ周辺には何もありません(笑)。見えるのは工事用車両や雄大な黒部川の景色くらいです。ただ、駅名に「猫」の字が入る駅は全国の鉄道を見渡してもここだけらしく、ちょっとしたレアスポットに来たような嬉しさがありました。
雪深い冬の過酷さを物語る「冬期歩道」

トロッコに乗って景色を眺めていると、線路の脇にコンクリートで作られた小さなトンネルのようなものがずっと続いているのに気がつきます。これは「冬期歩道」と呼ばれるものです。
黒部峡谷は冬になると深い雪に閉ざされ、トロッコ電車は運行できなくなります。しかし、発電所などの設備は冬の間も稼働しており、メンテナンスが欠かせません。そのため、作業員の方々はこの狭い冬期歩道を何時間も歩いて現場まで向かうのだそうです。私たちがのんびりと絶景を楽しめる裏側で、冬の厳しい環境でも日本の電力を守るためにここを行き来している人たちがいると思うと、本当に頭が下がる思いでした。
さらに奥へ続く道と「黒部宇奈月キャニオンルート」
今回は猫又駅で引き返しましたが、終点の欅平駅のさらに奥には、くろよん建設時に黒部ダム方面まで延伸された関西電力の専用鉄道が続いています。欅平駅から先はほぼトンネルなのですが、なんとトロッコ車両ごと巨大な竪坑(たてこう)エレベーターに乗せて「約200メートル上へ引き上げて」から再び走るという、世界でも珍しいルートが存在します。
このルートには、岩盤温度が160度を超え、ダイナマイトが自然発火するほどの過酷な環境下で掘削された「高熱隧道(こうねつずいどう)」と呼ばれるエリアがあり、当時の工事がいかに壮絶だったかを物語っています。
富山県では、この関係者しか入れなかった難所ルートを「黒部宇奈月キャニオンルート」として今年の秋に一般公開する整備を進めています。当初は2024年の一般公開が予定されていましたが、能登半島地震の影響で延期となっており、安全が確保されて公開される日が待ち望まれています。
おわりに

出発地点の宇奈月温泉駅の目の前には「黒部川電気記念館」があり、黒部峡谷の電源開発の歴史や、先人たちの並々ならぬ苦労に無料で触れることができます。トロッコに乗る前や後に立ち寄ると、見えてくる景色がより一層深く心に刻まれること間違いなしです。
皆さんも、黒部峡谷の歴史と大自然を肌で感じられるトロッコ電車に、ぜひ一度乗ってみてはいかがでしょうか?
コメント