毎日がレビュー

埼玉県所沢市出身で東京都清瀬市在住の人間がどうでもよいことを書いてます。毎日毎日がおさらい、レビューです。トラックバック、コメント、リンクいずれも大歓迎。

おすすめの本

「死の医学」への日記

新潮文庫「「死の医学」への日記(柳田邦男著)」を読みました。著者は終末期医療(ターミナルケア)について色々と本を著していますが、これは「「死の医学」への序章」の続編という位置付けです。

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「空白の五秒間―羽田沖日航機墜落事故」

新風舎文庫「空白の五秒間―羽田沖日航機墜落事故」(三輪和雄著)を読みました。羽田沖日航機墜落事故とは、1982年2月9日、福岡発羽田行きの日航機が羽田着陸時に機長の異常な操縦によって羽田空港直前の海に墜落し、死者24名、負傷者150名を出した事故です(こちらの方の体験記が生々しいです)。

当時、この事故によって「逆噴射」という言葉が有名になったと記憶しています。

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真珠湾の不時着機―二人だけの戦争

牛島秀彦著「真珠湾の不時着機―二人だけの戦争」(河出文庫)を読みました。ここに書かれていることは事実なのですが、場面設定や登場人物を見ているとまるで映画の原作を読んでいるかのような気持ちにさせられます。

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君について行こう 向井万起男著

講談社プラスアルファ文庫の向井万起男著「君について行こう (上) 女房は宇宙をめざす」と「君について行こう (下) 女房と宇宙飛行士たち」を読みました。

向井千秋さんが最初に宇宙へ行ったのが1994年ですから、もう既に10年以上昔の話になっちゃうわけですね。でも、昨日のことのように覚えています、彼女のパートナー向井万起男さんの独特の風貌だけは。その後、彼が「君について行こう 女房は宇宙をめざした」という本を出された時も「あの方が書かれた本だから絶対読もう」と思いつつ、結局10年近く経ってしまいました。

一言で言って「実に愉快」です。

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「日本の古都はなぜ空襲を免れたか」

1995年7月に角川書店から出版された単行本「京都に原爆を投下せよ」(吉田守男著)を改題し、2002年に朝日文庫から出版された本です。

米軍による日本への空襲の時期、どうして京都が空襲されなかったかというと、それは米軍が日本の文化物を尊重し、これを守るために意図的に攻撃対象から外していたからだという美談を聞いたことはないでしょうか。私はいつどこで誰から聞いたかは忘れてしまいましたが、戦時中のエピソードとして認識していて、そういう事実があったものと思い込んでいました。

この話はかなりの信憑性を持って語られてきて、その功労者とされるランドン・ウォーナー博士をたたえる石碑が全国に建てられています(例えば、湯川村のこれとか、奈良のこれとか)。

ところが、過去の資料に基づいてこれがまったくのデタラメであることを論証しているのがこの本です。京都は米軍によって守られるどころか、広島、長崎に続く原爆の投下目標ですらあったという事実には身震いすら覚えます。

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「男たちの大和」反町隆史と中村獅童か・・・

「戦艦大和発見」を読んだら「男たちの大和」も読みたくなった』で読んでみたいと言っていた辺見じゅん著「決定版 男たちの大和」(ハルキ文庫)ですが、とうとう読みました。

この本を原作として「男たちの大和」は映画化が決定しています。今年中のロードショーを目指しているので、もう撮影が始まっているのではないかと思います。

当初、映画化されるということから物語的なものを期待していたのですが、それは間違いでした。艤装中の大和から戦後の大和の生き残りの方の生活までが、インタビューや史実に基づいて、時系列的に克明に記述されていました。この本を読んだせいか、上で「生き残り」という言葉を使うのに若干、ためらいを感じました。私の中には生き残った方を責めるような気持ちは毛頭ないことを念のため書き添えておきます。

ちょうど前巻を読み終わったところで、メインキャスト決定を知りました。森脇庄八役として反町隆史さん、内田守役として中村獅童さんだそうです。でも、実は本書中にはこの二人の役名の人は出てきません。

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「生きがいの創造 "生まれ変わりの科学"が人生を変える」

在米中に、ミテクルさんからブライアン・L. ワイス氏の「前世療法」という本をお借りして読んだ時は、その話の内容に驚き考えさせられたものですが、同時に、実際にどうなっているかはわからなくても、そういうフレームワークで現実を捉えて生きていくことは人生にとってもプラスではないかと考えていました。今回読んだ「生きがいの創造」は、まさにそういう観点で書かれた本です。

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機長の一万日 - コックピットの恐さと快感!

講談社「機長の一万日 - コックピットの恐さと快感!」(田口美貴夫著)を読みました。先日、同じ著者による「機長の三万フィート」を読みましたが、こちらよりも文章が堅苦しく感じられました。今回読んだ本は、何冊か本を書かれている著者の最初の1冊だからでしょうか。しかし、実際のフライトにまつわるエピソードは今回の「一万日」のほうがおもしろいです。

写真提供で協力があることからも、著者は職場である日本航空の許可を得てこれらの本を出版しているのでしょうが、もし無許可で出版していたら問題になるかもしれないような記述もあります。アメリカでは、ブログが元でフライトアテンダントが解雇されたりしていますが(この方です)、例えば、本書に掲載されている話で、天皇陛下のVIP補助機の操縦をしていた時に、もう用無しになったVIP用の機内食をこっそり食べた話などは無許可で掲載したら問題になりそうですよね。

全部おもしろいのですが、その中でも個人的になるほどと感じた話を3点ほど紹介します。

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「責任 ラバウルの将軍今村均」

新潮文庫「責任 ラバウルの将軍今村均」(角田房子著)を読みました。企業による不祥事が新聞をにぎわせ、組織は責任を担当者だけに押し付けようとする、また政治家は二言目には「秘書がやったことだから・・・」と言い逃れをする、そんな時代にこそ読んで欲しい本です。

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アウシュビッツ収容所

講談社学術文庫「アウシュヴィッツ収容所」(ルドルフ・ヘス著 片岡啓治 訳)を読みました。

アウシュヴィッツ収容所は、第二次世界大戦中、ナチスドイツの反ユダヤ政策の犠牲となって多くのユダヤ人がガス室に送られ虐殺された場所です。

著者ルドルフ・ヘスは、このアウシュヴィッツ収容所の所長だった人です。ナチスドイツの副総統ルドルフ・ヘスとは同姓同名ですが別人です。

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「戦艦大和発見」を読んだら「男たちの大和」も読みたくなった

ハルキ文庫「戦艦大和発見」(辺見じゅん・原勝洋編)を読みました。編者の一人である辺見じゅん氏と角川春樹氏らが中心となって、戦後40年目の1985年に海底から大和を発見した時のルポが中心となる本です。既に今から20年も前の話になります。

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機長の三万フィート

講談社+α文庫機長の三万フィート 」(田口美貴夫著)を読みました。

「航空博物誌」を読んだ時も著者の飛行機好きがひしひしと伝わってきますが、こちらからは飛行機操縦のプロとしてのプライドが感じられました。お客様に快適なフライトをしていただくことを第一に考えている点が、さすがだと思います。

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「飛行機博物誌 - 空飛ぶ機械のものがたり」は飛行機マニアでなくても楽しく読める

野沢正著「飛行機博物誌 - 空飛ぶ機械のものがたり 」(光人社NF文庫)を読んでみました。1916年生まれの著者はまさに飛行機の黎明期から飛行機を愛し続けてこられた方で、行間から著者の飛行機に対する思いがひしひしと伝わってきます。

本の最初に「航空雑誌を二冊以上買ったことのあるヒコーキ・ファンに」と書かれていました。私の場合、飛行機は好きですが今までに1冊しか買ったことがありませんので不合格です。本文中にもわからない専門用語も出てきました。でも読んでいて楽しいんです。

なぜでしょう・・・?

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「関東大震災」吉村昭著を読んで

阪神淡路大震災から10年が経ちました。去年は新潟中越大震災があり、スマトラ沖地震にあってはいまだ被害状況すら確定できていない状況です。そんな中、「関東大震災」を読みました。

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「マッカーサー大戦回顧録」

前々から読んでみたいと思ってはいたものの、なかなか実現できずにいた本「マッカーサー回想記」からの抜粋本マッカーサー大戦回顧録 です。昨年末、通勤読書で読んでみました。

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「DNAは知っていた」15年後に性犯罪の容疑者を逮捕

DNA科学者ヘレナ・グリーンウッドは1984年4月7日、夫の留守中に家に忍び込んできた男に性的な強要を受けます。ほどなくして一人の男が逮捕されますが、その裁判中に、彼女は殺されてしまいます。

証拠不足のため、この殺人事件の犯人は逮捕されずに15年の月日が経ちました。その間、世の中ではDNAに基づいた人物特定の操作が確立され、そしてとうとう、ヘレナ・グリーンウッドを殺した犯人も逮捕されます。

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オウム教祖も逮捕した「警視庁捜査一課特殊班」

少し前に「ケイゾク」というドラマがありました。第一線の捜査が終わっても未解決の事件を捜査する部署が舞台の物語です。本当にそういう部署があるのか知りませんし、もしあってもあそこもまでやる気がないわけもないのですが、面白いドラマでした。

この本で描かれているのは警視庁の刑事部捜査第一課に実在する特殊犯捜査係の実話です。ここは誘拐、企業恐喝、立てこもり、ハイジャック等を専門に扱う部隊です。通称、SITといいますが、Special Investigation Teamの頭文字というのは実は後付けで、元々はSousa Ikka Tokushuhanの略だったそうです。いろいろな事件のルポに加えて、そんなエピソードが本書では説明されています。

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「ニューギニア水平垂直航海記」素人の女性がここまでやる?

この本「ニューギニア水平垂直航海記」の著者は峠恵子さんというシンガーソングライターです。寡聞にして私は知らなかったのですが、カーペンターズ を歌わせたら右に出る者はいないそうです。ということは、この本、よくあるタレントの日記本かなと思いつつ、巻末の解説を先に読んでみました。すみません。椎名誠さんによる解説です。「・・・解説を読んでから本文を読む人もいるので・・・」とちゃんと概要も書かれていました。なんか見透かされているようで悔しいのですが、どうやら私の第一印象とは違う内容のようです。「つまらなかったら途中で止めればいいや」ぐらいの気持ちで読み始めたのでした。

名前の通り常に恵まれていた著者は、「このままではいけない」と悩んでいました。そんな矢先に出会ったのが「ニューギニア探検隊」の隊員募集の広告。日本からヨットでニューギニアまで航海し、そこからマンベラモ川を遡上し、未踏のカールステンツピラミッド北壁を初登攀するというすごい計画です。本人いわく海も山もド素人という著者はこれに応募します。申し込む方も申し込む方だけど、受け入れる方も受け入れる方だとは思いませんか?

2001年4月15日に隊員を乗せたチャウ丸は油壺を出航します。しかし、すぐさま船酔いでコックピットはゲロまみれに。おしっこも垂れ流し状態(後に著者はペットボトルでkeikoスペシャルという尿瓶を開発します)。ウンコも海にお尻を突き出しての脱糞だそうです。包み隠しなしの淡々とした現実描写に、いつしか吸い込まれていくのでした。

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「クリティカルチェーン」PMBOKもいいけど、TOCによるプロジェクトマネージメント

知る人ぞ知る、TOC(制約条件の理論)をプロジェクトマネージメントに適用した理論を小説として説明した本です。

著者エリヤフ・ゴールドラットはイスラエルの物理学者ですが、「ザ・ゴール」でTOCを紹介し、一大ムーブメントを起こした人です。「ザ・ゴール」では生産管理におけるTOCが語られています。日本人にTOCを知られてしまうと危険だからと、日本語版の出版がなかなか許されなかったという話もあります。TOCとは一言でいってしまえば、「ボトルネックを見つけてそれに合わせて全体を最適化していく」というものです。

その後、TOCは思考プロセスにも応用され、この「クリティカルチェーン 」ではプロジェクトマネージメントに応用されました。

今、日本ではプロジェクトマネージメントが大流行です。プロジェクトマネージメントといえば、PMIのPMBOKが有名です。私もPMBOKに準拠するPMPを取得しましたが、PMBOKがプロジェクトマネージメントをすばらしく体系化していることは間違いありません。でも・・・。

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「ぼくは痴漢じゃない!」


ぼくは痴漢じゃない!―冤罪事件643日の記録

一部上場企業の課長だった鈴木さんは平成10年、通勤途中の京王線の中で痴漢に間違われました。その後、1年9ヶ月かけて無罪を勝ち取ります。その間、勤務先は退職しなければならなくもなっています。その一部始終がこの本の中に凝縮されています。

この話は誰にでも起きる話です。「無罪を勝ち取る」と書きましたが、事件の性質上、頑張れば無罪が証明できるものでもありません。鈴木さんは駅のホームで被害者となる女性に痴漢と間違われ、駅員室へ、そして警察に連れて行かれます。話せばわかってもらえるだろうと言われるままについていくわけです。私でもそうするでしょう。でも、他の痴漢冤罪事件同様、この考え方は甘いようです。法的には、女性に間違われた時点で、彼は「私人による準現行犯逮捕」されているのです。怖いですね。

卑劣な痴漢行為に対して、女性は弱者といえます。痴漢行為そのものは断罪されなければいけません。でも、この本を読んで、男性もある意味、弱者なんだなと感じざるをえません。変な話、ある女性がある男性を「痴漢です」と警察に突き出せば、この男性は何もしていなくても、おおかた有罪になってしまうのです。

この本の中に出てくる被害者の女性は本当に痴漢されたのかもしれません。鈴木さんに対して恨みでもない限り、何かしらの痴漢行為の被害者であったことは事実かもしれません。でも、その犯人を鈴木さんと間違ったばかりに、鈴木さんがその後歩んだ苦労はあまりにも大きすぎます。

私も痴漢に間違われないよう、いつも自衛しています。かばんは肩からかけて前におきます。こうすることでどんなに押されても前の人との間にスペースができます。また手はつり革、もしくは、肩から提げたかばんのベルトを握るようにし、まちがっても周りから見えない位置にはおきません。一部の痴漢犯罪者のために被害を受けているのは、女性だけではないのです。

本書「文庫本のあとがき」に鈴木さんの今が書かれています。かなり波乱万丈な生活を送ってきたことは想像に難くないですが、その結末(といっても、あくまで現状ですが)には「えっ!・・・あ、そう・・・なるほどね・・・」と思わずうなってしまいます。

「忘れる脳」の構造改革


「忘れる脳」の構造改革

題名から記憶に関する本だと思い、つい読んでしまいました。ただ、この本に競争社会に打ち勝つための記憶力向上の方法論を望んではいけません。私自身、最初はそういう内容を期待していましたが、実は正反対の論調です。本の最後ではわざわざ一章割いて「競争原理という神話を超えて」と論じています(個人的には競争は必要だと思っています。価値観の多様性を認め、競争する場を増やすことが大切じゃないかなあと感じています)。そういう意味では期待が裏切られたことになります。そんなこともあって最初は読み進めるのが苦痛でしたが、先に進めば進むほどおもしろい話が出てきます。読み終わると、なんとなく「脳」ってかわいいなって思えてきます。と同時に、「脳」ってそこまで考えられてできているんだなあという驚きもありました。

この本を読んでみて、バイオフィードバックについてはより詳しく読んでみたいと思いました。バイオフィードバックとは通常、無意識に行われている体内の調節(内臓の動きや血圧等)を意識的にコントロールするというものです。

また、本筋とはあまり関係がありませんが、自己暗示に関して以下の記述がありました。効果があるかどうかはわかりませんが、これはすぐに実践してみても良いかなあと思っています。

有名な自己暗示術者クーエは「すべてが少しずつ良くなってゆく」ということばを朝と夜に二十回ずつ唱えるとよい、と提言しています。

「無人島に生きる十六人」日本にもあった実話の漂流物語

少し前に図書館で偶然見つけて夢中になってしまった本がこの「無人島に生きる十六人」です。子供の頃、「ロビンソン・クルーソー」や「十五少年漂流記」を読んだ人は多いかと思いますが、この年になって、漂流ものにこれほど熱くなるとは思いませんでした。

明治時代に南方調査に出かけた龍睡丸が座礁し、無人島にたどり着いた乗組員たちが前向きに暮らしていく実話です。作り物の漂流記であれば、物語をおもしろくするための工夫が随所にありますが、これは実話です。話の進め方もある意味、たんたんと時間を追って書かれています。それでも、ついつい夢中になってしまいました。「事実は小説より奇なり」とはよく言ったものです。まさにその通りです。

この本の中には今の日本人が忘れてしまったかもしれない誇りが、自然と描かれています。無人島に漂流する前に一度海難に遭い、龍睡丸はホノルルにたどり着くのですが、そこでは礼儀正しさ、規律のよさから「龍睡丸乗組員は、世界の海員のお手本だ」とまで言われています。無人島にたどり着いてからも、この態度は助け出されるまで一貫しています。乗組員の中には練習生もいたのですが、彼らは無人島で毎日、勉強もするんですよ。信じられますか。

この本は自信を失いかけている多くの日本人に読んでもらいたいですが、とりわけこれからの日本を背負って立つ子供たちに読んでもらいたいですね。新潮社から文庫本で420円ですから、私のように行き帰りの電車の中が主な読書時間という人はこの文庫本を買えば良いですが、なんと青空文庫にも収録済みです。学校の先生には積極的に教材として活用してもらいたいと思っています。

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